調査会社のJDパワーが11月30日発表した2016年度のインドの自動車初期品質調査(IQS)は、過去2年間と同様、主要8部門中の4部門で日系メーカーが首位を占めた。前年に続き、メーカー別では現代自動車が3部門で首位(エントリー・コンパクト部門はマルチ・スズキと首位タイ)だった。このほか日系ではトヨタとホンダが2部門ずつ首位で、残り1部門はVWが首位となった。


インドの地元メーカーは首位を獲得できなかったものの、売れ筋のエントリー・コンパクト部門でタタ「ナノ」が3位に入り、マルチ・ユーティリティー・ビークル(MUV)/多目的車(MPV)部門でマヒンドラ&マヒンドラ(M&M)の「ボレロ」が3位となっている。

インドのIQSは今年が20回目。同調査は新車購入から2~6カ月を経過したオーナーから得た不具合や問題点の指摘件数を100台当たりで指数化したもので、数字が少ないほど初期品質が優れていることを示す。対象となったのは17社の78モデルで、JDパワーは昨年11月から今年7月までに新車を購入した8830人から回答を得た。

■設計上の改善が鍵
業界平均は前年度から1ポイント改善し、95点となった。5年前の12年度との比較では25ポイント改善した。製造品質に関連するものが21ポイント改善したのに対し、設計上に関するものは4ポイントの改善にとどまった。

JDパワー・シンガポールのアロラ取締役は、自動車メーカーがこれまで製造品質の改善に力を注いできたことが実を結んだとした上で、燃費や空調、トランスミッションなどの設計に関する消費者の要求にこたえるのが課題だと指摘。インドでの走行環境を考えると、消費者が快適さや運転しやすさを求める傾向が強まることが予想されるとしている。同取締役によれば、自動車メーカーはこれらの要素を考慮して設計することで、他社と差別化し、ブランド力を高めることができるという。

同調査ではエンジンやトランスミッション、外観、操作性、空調、内装など8分野に分けて不具合の有無を聞いているが、11年度との比較では空調分野を除く全分野で改善した。

■ディーゼル車の改善幅大きく
調査では、ガソリンエンジン車とディーゼルエンジン車ともに5年前と比べて初期品質が改善したが、改善幅はディーゼル車が31ポイントで、ガソリン車の18ポイントを上回った。

2台目以降の自動車の購入者は、初回購入者と比べて不満が多い傾向が見られた。2台目以降の購入者のIQSが112だったのに対し、初回購入者は83となっている。最も違いが大きかったのはデザイン関連の不満で、2台目以降の購入者は初回購入者と比べ、100台当たり平均で13ポイント多かった。

自動車の利用度も品質への不満に影響を与えており、1カ月の走行距離が750キロメートル以上の所有者の不満は100台当たり124だったのに対し、750キロ未満では同87だった。

不具合や問題点が予想以上に少なかったとする回答者の76%は購入したモデルを家族や知人に「絶対に薦める」としたのに対し、予想以上に多かったとする回答者の場合は「絶対に薦める」は42%にとどまっている。

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2016/12/1

 

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