米カリフォルニア州政府は現地時間の5月29日、同州やニューヨーク州を含む8州の政府が電気自動車(EV)などの普及を目的とする行動計画を策定したと発表した。2025年までに8州だけで330万台の普及を目指す。



330万台の数値目標にはEVだけでなく、プラグイン・ハイブリッド車(PHV)や燃料電池車(FCV)も含まれており、これら3種類の次世代エコカーを一括して「ゼロ排出車」と呼んでいる。

今回の行動計画は、昨年10月に両州とコネチカット、メリーランド、マサチューセッツ、オレゴン、ロードアイランド、バーモントの計8州が合意した覚書を、より具体化した内容となっている。8州の新車販売台数を合計すると米国全体の23%以上を占める。

全体としては、(1)市場の創出、(2)標識などの統一化、(3)購入者の利便性向上――の3本が柱となっており、それぞれについて各州が優先して取り組む事柄や今後の検討課題を示した。

■購入者への特典増加

ゼロ排出車の購入者への特典については、購入時の連邦政府による税制優遇の維持について8州が支持を継続することで合意したほか、各州が独自に税制優遇や補助金を導入していく方向で施策を展開することで合意した。

モデルプログラムとしては、カリフォルニア州がEVとFCVに2500米ドル、PHVに1500米ドルの補助金を給付していることを挙げた。マサチューセッツ州では2014年の夏からFCVと大型バッテリーを搭載するEVに2500米ドル、小型バッテリーを搭載するEVまたはPHVに1500米ドルを給付することになっている。

メリーランド州では先ごろ州議会でバッテリーの性能に応じて1キロワット時当たり125米ドルずつ、最大で3000米ドルまでの税額控除を認める法案を可決した。今後は8州以外の州でも同様の政策を実行するよう呼び掛けていく方針だ。

■中古EV市場の育成や優先レーンの利用権も

補助金や税制優遇以外では、ゼロ排出車の中古車市場を育成していくことで合意した。新車でゼロ排出車の購入したオーナーが適切な価格で売却できるようにすることで資産価値の不当な下落を防ぐ狙いがある。

今後の検討課題としては、有料道路での特別割引の適用や特定の人数が乗車している場合にだけ利用できる優先レーンをゼロ排出車は1名乗車であっても利用できるようにすること。優先レーンを利用できることを示す共通ステッカーを制定する方向で検討する。公共駐車場での割引も数年内に実現していくとした。

■公用車で数値目標

州政府などの公的機関で購入する公用車については、2025年までに最低でも25%をゼロ排出車にするとの数値目標を定めた。

すでにカリフォルニア州では15年までに公用車の10%、20年までに25%をゼロ排出車とすることを定めており、今後はほかの7州でも同様の取り組みを実施していくことになる。

一連の取り組みにより、8州では官民でゼロ排出車の市場規模を20年に年間30万台強、25年までに年間60万台弱まで拡大することを目指す。

今回の行動計画の全文は http://www.nescaum.org/topics/zero-emission-vehicles/zero-emission-vehicles-1/#で公開されている。

2014/6/2

 

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