インドで自動車の長期耐久品質が大幅に改善したことが、JDパワー・アジア・パシフィックの2014年度インド自動車耐久品質調査(Vehicle Dependability Study、VDS)によって明らかになった。8部門中の6部門で日本車が首位となり、各部門の2~3位でも日本車が多くを占めている。


同調査は、新車購入後30カ月から42カ月が経過した時点での車の耐久品質について調べるもので、「外装」「走行性能」「装備品/コントロール/ディスプレー」「オーディオ/エンターテインメント」「シート」「空調」「内装」「エンジン」「トランスミッション」の9カテゴリーに分類される169の項目について経験した不具合などをオーナーが指摘している。

10年7月から11年9月の間に新車を購入したオーナーを対象に、14年1月から4月にかけてインドの30都市で調査を実施し、8312人から回答を得た。調査対象となった車種は、16ブランドの70モデル。

■100台当たりの不具合件数が22%減

2014年のインドの自動車耐久品質の不具合指摘件数は全体平均で100台当たり218件となり、13年の280件から22%の大幅減となった。VDSスコアは 100台当たりの不具合指摘件数によって算出され、スコアが低いほど耐久品質が高いことを示す。

今回の調査結果では、保有期間中に不具合を1回も経験しなかったと回答した割合が38%となり、12年に記録した34%を上回った。特にディーゼルエンジン車の品質が234点となり、以前より改善した。12年度の調査では71点差だったガソリンエンジン車との格差は22点差へと大幅に縮小している。

ディーゼルエンジン車は特に走行性能での改善が目立ったが、その一方でタイヤの偏磨耗や車輪の過大なアライメント変化、サスペンションからのノイズといった足回りに関する不具合を指摘する声があったとしている。ただし、ノイズに関する不具合の指摘件数は32件で、11年の47件からは減少した。

JDパワー・アジア・パシフィック・シンガポールのエグゼクティブ・ディレクターであるモヒト・アロラ氏は「エンジン技術の進歩と全般的な耐久品質の向上により、ディーゼル車のオーナーからの指摘件数が減少した。ディーゼル車はもともと維持費が安いことが利点であることから、乗り心地なども改善していけば、長期的にはよりポジティブな評価を得られるようになるだろう」と述べた。

JDパワーによれば、回答者の37%が予期していなかった修理を必要とする事態を経験しており、この数値は前回調査の43%より6ポイントの減少となった。予期していなかった修理を経験したオーナーが指摘した不具合件数は100台当たり363件に達した一方、修理に出したことがないユーザーの指摘件数は133件にとどまっている。

■走行距離の減少もプラスに影響か

保有期間が2.5~3.5年のオーナーの平均走行距離は3万6203キロメートルとなり、11年度の調査より13%の減少となった。走行距離5万キロ以下のオーナーの指摘件数は、5万キロ超のオーナーより95ポイントも低い結果だったため、平均走行距離の減少が全体的な耐久品質の向上に寄与した可能性がある。走行距離が5万キロ以下だったオーナーの割合は81%となっており、11年の73%から8ポイントの増加となった。

また、オーナー自身が運転する割合が87%に増えたことも影響したとみられる。自身が運転するオーナーと雇用したドライバーに運転させているオーナーとを比較すると、不具合指摘件数はそれぞれ215件と239件だった。

■トヨタとスズキが2部門でトップ

今年が7回目となる今回の調査では、トヨタとマルチ・スズキがそれぞれ2部門で首位となった。両社以外ではホンダと日産、現代自動車、フォルクスワーゲン(VW)傘下のシュコダが1部門ずつ首位となっている。

インド自動車耐久品質調査は、JDパワー・アジア・パシフィックがインド市場で実施する2つの自動車品質調査のうちの1つ。初期品質調査(IQS)は、新車購入後2~6カ月経過した時点での車の不具合を調べるもので、11月に発表する予定となっている。

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2014/7/1

 

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