自動車部品大手の米ビステオンは3日、自動車内装品事業を大手投資会社の米サーベラス・キャピタル・マネジメントに売却する手続きが完了したと発表した。世界各地の21工場がサーベラス傘下に入ることになる。


売却対象となった内装品事業の2013年の売上高は約10億米ドル。コックピット・モジュールやインストゥルメンタルパネル、ドアパネル、フロアコンソールなどを製造し、自動車メーカーに供給している。売却額は公表していない。

■15年3月までに移籍完了

15カ所の工場と6カ所のアセンブリー工場、8カ所のエンジニアリングセンターが欧州とアジア、南米の各地に所在しており、従業員数は約5000人。全員がサーベラス傘下の自動車部品メーカーであるレイデル・オートモーティブに移籍する。資産の引渡しと従業員の移籍は2015年の第1四半期(1~3月)中に完了する見通しだ。サーベラスはフィアットに買収される前にクライスラーの親会社だったことで知られている。

ビステオンはかつての主力部門だった内装品事業からの撤退を進めており、今年3月には韓国の合弁会社だった徳洋産業(Duckyang Industry)の株式50%を徳洋の経営陣らに売却すると発表している。内装品事業から撤退することで、コックピット・エレクトロニクス事業や、ラジエーターや空調などの熱制御関連事業に集中する方針としていた。

ビステオンは今年1月、米ジョンソンコントロールズの電子機器事業部門を約2億6500万米ドルで買収することで合意している。

■チェコの空調工場を拡張

ビステオンはまた、グループ傘下の熱制御事業会社であるハラ・ビステオン・クライメート・コントロール(HVCC)がチェコ東部のフルク(Hluk)工場を拡張すると発表した。工事は15年の第1四半期(1~3月)中に完了する予定だ。

建屋面積3万7230平方メートルの既存工場に7330平方メートルの新棟を増設する。同工場ではパワートレインを冷却するための水冷式チャージ・エアクーラーや低温ラジエーター、排ガス再循環(EGR)システムなどを生産し、欧州の自動車メーカーに納入している。同工場は13年の開所で、従業員数は450人となっている。

2014/11/5

 

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