米系調査会社のJDパワー・アジア・パシフィックが27日発表したインドの自動車初期品質調査(IQS)は、主要8部門中の4部門で日系メーカーが首位を占めた。昨年は9部門中の8部門で日系メーカーが首位となっていたが、今回は国内で乗用車2位の現代自動車がマルチ・スズキと並んで2部門の首位を獲得ししており、存在感を強めている。


残りの2部門はフォードとフォルクスワーゲン(VW)傘下のシュコダがそれぞれ首位となった。日系の内訳はマルチ・スズキが2部門、トヨタとホンダが1部門ずつとなっている。インドの地元メーカーは首位を獲得できなかったものの、売れ筋のエントリーコンパクト部門でタタ「ナノ」が2位に入っており、昨年の3位から順位を上げている。

同調査は新車購入から2~6カ月を経過したオーナーから得た不具合や問題点の指摘件数を100台当たりで指数化したもので、数字が少ないほど初期品質が優れていることを示す。

対象となったのは17社の73モデルで、JDパワーは昨年11月から今年7月までに新車を購入した国内30都市の8429人から回答を得た。

■業界平均も改善、ディーゼル車で顕著

業界平均は前年度から15ポイント改善し100点となった。同調査ではエンジンやトランスミッション、外観、操作性、空調、内装など8分野に分けて不具合の有無を聞いているが、今年度は全分野で改善がみられた。

特にインド市場で人気の高いディーゼルエンジン車の改善が目立っている。ディーゼル車のスコアは96点で、5年前となる2010年の148点から大幅に改善した。インド国内のディーゼル車の販売台数は対10年比で14年は16%の増加が見込まれており、市場の成長にともなって品質の改善も進んでいることが明確になった。

ただ、JDパワーはディーゼル車のオーナーの走行距離が10年との比較で14年は22%縮小したことも背景にあるとみている。ドアの開閉困難やドアハンドルの故障など自動車の使用頻度に関する分野で10年と14年の間に24点の改善があったと指摘した。

JDパワーでエグゼクティブ・ディレクターを務めるモヒト・アロラ氏は「自動車業界はディーゼル車の品質を着実に改善してきたことが分かった。だが、インドでも公共交通機関が発達しつつあり、自動車の走行距離は減少する傾向にある」と述べた。

部門別ではエントリーコンパクト車の改善幅が最も大きく、前年比で48点の改善となった。多目的車(MPV)が同28点、スポーツタイプ多目的車(SUV)も同20点の改善を記録している。

■説明の有無が指摘件数に大きく影響、燃費誤差は2~3キロまで
今回の調査では、購入時に各種機能の操作方法などについて丁寧に説明を受けたかどうかで不具合の指摘件数が大幅に変化することが浮き彫りになった。説明を受けた回答者の100台当たり指摘件数が94点だったのに対し、説明を受けなかった回答者は同183点と2倍近い格差が広がっている。

また、回答者の多くは購入したモデルの燃費性能について、ディーラーから聞かされた数値より1リットル当たりで2~3キロメートルの範囲内であれば問題視しないが、この範囲を超えると不具合として指摘する場合が目立ったという。

JDパワーによると、不具合が予想以上に少なかった回答者の79%は購入した車両を5年以上は保持するとしたのに対し、不具合が予想以上に多かった場合は同数値が58%まで低下したとしている。

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2014/11/28

 

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