カナダ・オンタリオ州政府は15日、同国の連邦政府および業界団体と連携し、「自動車投資委員会」を新設したと発表した。同州の自動車産業の国際競争力を強化し、外国メーカーの投資誘致戦略を提案する。委員長には今年3月末までトヨタ・カナダの会長を務めた同州出身のレイ・タンゲイ(Ray Tanguay)氏が就任する。


同委員会は今後、カナダの自動車産業の将来を見据え、国際競争力の強化と外国自動車メーカーからの継続的な投資誘致などの戦略について、オンタリオ州政府と連邦政府にアドバイスや提言を行っていく。

同委員会の新設を発表したオンタリオ州のブラッド・デュグイッド経済開発相は「オンタリオ州の自動車産業は私たちの経済の基盤だ」としたうえで、「国際競争が激化するなか、さらなる投資を推進し、自動車部門の強い競争力を維持することがますます重要となる」と指摘。同州とカナダ政府、自動車産業界の連携がレイ・タンゲイ氏の助言とリーダーシップを得て、オンタリオ州が自動車産業の競争力と生産性を高め、市場シェアを一層拡大できると確信していると述べた。

■部品700社のサプライチェーンに強み

オンタリオ州には、トヨタ、ホンダ、FCAカナダ(旧クライスラー・カナダ)、フォード、ゼネラル・モーターズ(GM)といった世界の大手自動車メーカー5社が製造工場を持ち、さらに日野自動車がトラックの生産工場を置いている。同州は北米全体の自動車総生産の約16%を占め、700以上の部品メーカーと500以上の工具、金型、鋳型メーカーなどから成るサプライチェーンが拠点を置いている。

2014年から15年にかけての1年間で、オンタリオ州の自動車業界には民間部門から40億カナダドル(約4000億円)を超える投資が行われた。このなかには、GMのインガソル工場への追加投資、FCAカナダのウィンザー工場整備の投資、ホンダのアリストンおよびリナマー工場への投資などが含まれる。

自動車投資委員会の委員長に就任するタンゲイ氏は、トヨタ・カナダ在任中にオンタリオ州に2つ目のトヨタ工場の建設と、海外工場としては唯一のレクサス生産を実現した経験と手腕が高く評価されている。

2015/6/16

 

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