インドで自動車の長期耐久品質の改善が続いている。JDパワー・アジア・パシフィックが6月30日発表した2015年度インド自動車耐久品質調査(Vehicle Dependability Study、VDS)によって明らかになった。7部門中の5部門で日本車が首位となり、各部門の2~3位でも日本車が多くを占めている。


同調査は、新車購入後30カ月から42カ月が経過した時点での車の耐久品質について調べるもので、「外装」「走行性能」「装備品/コントロール/ディスプレー」「オーディオ/エンターテインメント」「シート」「空調」「内装」「エンジン」「トランスミッション」の9カテゴリーに分類される169の項目について経験した不具合や問題点などをオーナーが指摘している。

11年7月から12年9月の間に新車を購入したオーナーを対象に、15年1月から4月にかけてインドの30都市で調査を実施し、8507人から回答を得た。調査対象となった車種は、16ブランドの65モデル。コンパクトカーやスポーツタイプ多目的車(SUV)など13部門について調査したが、6部門で回答者数が不足したため、今年は7部門だけを公表した。

■100台当たりの指摘件数が12点改善

2015年度のインドの自動車耐久品質の不具合指摘件数は全体平均で100台当たり206件となり、14年の218件から12ポイントの改善となった。VDSスコアは 100台当たりの不具合指摘件数によって算出され、スコアが低いほど耐久品質が高いことを示す。13年は280件だったことから、14年を経て15年も改善が続いていることになる。

今回の調査結果では、11~12年に市場投入された新型車を購入した回答者のスコアが良好で、前年度から継続して販売されているモデルを購入した回答者よりも平均で17件少なかった。特に外装で12件の差が付いたとしている。

カテゴリー別ではエンジンと外装で改善が目立っており、それぞれ前年度より8件と5件の低下となった。エンジンの品質改善は燃費性能の評価にもつながっており、燃費が悪化したとの指摘は3.1件の低下となっている。

■空調関連の評価は悪化

一方、空調(HVAC)関連の評価は悪化しており、11年度の18件から15年度は24件へと5年間で6件の増加となった。これは1台当たりの乗車人数が増えたことと関連している。15年度は回答者の67%が3人以上で乗ることが多いとしており、11年度の同50%から17ポイントも増えている。スコアでみると、3人以上で乗車する場合の空調の指摘件数は27件となっており、1~2人が乗車する場合の20件を上回っている。2列目や3列目の座席に対する冷房の効きが評価に影響したとみられる。

JDパワーによれば、回答者の34%が予期していなかった修理を必要とする事態を経験しており、この数値は前回調査の37%より3ポイントの減少となった。予期していなかった修理を経験したオーナーが指摘した不具合件数は360件に達した一方、修理に出したことがないユーザーの指摘件数は127件にとどまっている。

■トヨタとホンダ、スズキが2部門でトップ

今年が8回目となるVDS調査では、トヨタとホンダ、マルチ・スズキがそれぞれ2部門で首位となった。両社以外ではフォルクスワーゲン(VW)とマヒンドラ&マヒンドラ(M&M)が1部門ずつ首位となっている。

インド自動車耐久品質調査は、JDパワーがインド市場で実施する2つの自動車品質調査のうちの1つ。初期品質調査(IQS)は、新車購入後2~6カ月経過した時点での車の不具合を調べるもので、11月に発表する予定となっている。

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2015/7/1


 

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