自動車部品大手のZF TRWは25日、エンジニアド・ファスナー&コンポーネンツ事業を米国の工業用品・自動車部品大手であるイリノイ・ツール・ワークス(ITW)に売却すると発表した。売却価額は4億5000万米ドルで、3500人の従業員が移籍することになる。今年の上半期(1~6月)中に手続きを完了させる予定だ。


売却対象となったファスナー部門の本部機能は独ラインラント=プファルツ州エンケンバッハ(Enkenbach)に置かれており、欧州とアジア、北米の9カ国で13拠点を展開。自動車メーカー向けに各種部品を組み付けるためのファスナーを供給している。同部門の2015年の売上高は4億7000万米ドルだった。

■独立採算でITW傘下に
買い手となったITWのサンダラム・ナガラジャン上級副社長は「ファスナー事業を獲得することで、当社は既存の自動車部品事業を補完し、顧客に提供できるサービスの幅を拡張することができる」と述べた。ITWは今後、ZFから買収したファスナー部門を独立採算の事業体のまま運営させる方針だ。ITWの2014年の売上高は145億米ドルだった。従業員数は5万人に上る。

一方、ZF TRWのフランツ・クライナー最高経営責任者(CEO)は「ファスナー部門は世界的なビジネスへと成長しなければならない。そのうえで敬服すべき企業に売却できたことを幸運に思う」とした。ZFは今後、アドバンスト・セーフティーや低燃費技術、電動化、自動運転(自動走行)などの分野に注力したい意向だ。

2016/1/26

 

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