ダイムラーは8日、中国の国有自動車大手の北京汽車集団(BAICグループ)傘下の電気自動車(EV)専業メーカー、北京新能源汽車(BJEV)の株式3.93%を取得すると発表した。ダイムラーは昨年6月に北京汽車と交わした枠組み合意書で、BJEVに戦略的投資を行い、新エネルギー車(NEV)分野での提携を強化する方針を表明していた。

ダイムラーのフベルトゥス・トロスカ中国事業担当取締役は8日に発表した声明のなかで、「BJEVへの投資は、ダイムラーと北京汽車との強力な協力関係における新たな節目で、中国の電動モビリティ開発へのコミットメントを明確に示すものだ」と述べている。同取締役は昨年11月、中国でのEVと電池の生産に向け、50億元(約837億円)を投資すると発表しており、合弁パートナーである北京汽車が半分を負担する見通しとしていた。

■中国EVメーカーで最大の販売台数

BJEVの2017年の販売台数は前年比98%増の10万3000台で、中国のEVメーカーとしては初めて年10万台を突破し、世界でも米テスラに匹敵する規模となっている。ロイター通信によれば、BJEVは16年に初めて純利益を計上。17年1~10月の純利益は3900万元(約6億5000万円)と控えめで、中国政府による新エネ車の補助金が今後縮小することで蒸発しかねない規模だ。

BJEVブランドの魅力は値ごろ感で、同社で最も売れ行きの良いコンパクトカーの価格は8000米ドルを下回る。一方でバリューチェーンの上層に食い込むことが課題となっており、ダイムラーによる出資に期待がかかる。ただ、格安ブランドから一新するには時間を要するうえ、現状ではダイムラーの関与がどの程度のものになるかは不明だ。

■北京汽車と吉利汽車の綱引きも

北京汽車は先月25日、ダイムラーとの中国の合弁事業である北京ベンツ・オートモーティブ(BBAC)が新工場を建設すると発表。新工場で生産する車両については複数のメルセデス・ベンツ車とし、NEVも含むとしたものの、具体的なモデル名については公表していない。

先月23日には吉利汽車がダイムラーに9.69%を出資し、筆頭株主になったと発表している。吉利集団は、EVや自動運転車(自動走行車)などの分野でダイムラーの協力を求めたい考えとみられる。

2018/3/9

 

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