東芝と双日、ブラジルのニオブ生産会社であるCBMMは20日、ニオブチタン酸化物(Niobium Titanium Oxide、NTO)を負極に用いた電気自動車(EV)のバス向け次世代リチウムイオン電池の共同開発に成功したと発表した。


ブラジル時間の19日、同電池を搭載し、約10分で超急速充電が可能な電気バスの試作車を公開するとともに、CBMMが権益を保有するブラジル南東部ミナスジェライス州にあるアラシャ鉱山で実証実験を開始した。

■NTOの理論体積容量密度は黒鉛の2倍の
ニオブは金属元素の一つで、鉄鋼添加剤として主に高張力鋼、ステンレス鋼などの高級鋼材の原料に用いられ、中でも自動車向け鋼材の軽量化・剛性化には不可欠とされている。NTOはリチウムイオン電池の負極材として一般的に使用される黒鉛と比較し、2倍の理論体積容量密度を持つ。

3社は2018年6月、NTOを用いたリチウムイオン電池負極材の共同開発契約を締結し、試作セルを開発。21年9月に商業化に向けた共同開発契約を結び、量産プロセスの確立と早期の市場投入に向け、主に商用EV(電気自動車)への応用を目指してきた。昨年8月には共同販売契約を締結。今年5月にはブラジル・日本両国政府関係者の立ち合いの下、サプライチェーンの強靭化と事業化の推進について合意している。

■25年春の製品化とグローバル販売目指す
実証実験はVWトラック&バスが開発したEVバスを使用。NTOを負極に用いたリチウムイオン電池を搭載したEVの走行は世界初という。3社は今後、実証実験を通じてNTOを用いた次世代リチウムイオン電池の特性と車両運行データの収集を行い、2025年春のNTOを用いた次世代リチウムイオン電池の製品化とグローバルでの販売に向けた活動を推進するという。

2024/6/21

 

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