富士フイルムは14日、次世代電池の準固体リチウムイオン電池(SemiSolid Lithium-ion Batteries)の研究開発を手掛ける米24Mテクノロジーズ(本社:マサチューセッツ州ケンブリッジ)の新株予約権付社債(コンバーティブル・ノート)を引き受け、同社に2000万米ドルを追加出資するとともに、24Mテクノロジーズと準固体リチウムイオン電池の製造・販売に関するライセンス契約を締結したと発表した。

■電極の乾燥工程省きコスト削減

24Mテクノロジーズは2010年の設立で、電極部材に電解液を練り込むことで半固形化した準固体リチウムイオン電池を開発。現行の液系リチウムイオン電池の材料と製造工程を見直すことで、高い安全性・エネルギー密度と環境負荷の削減を実現した準固体リチウムイオン電池の独自プロセスを確立した。液系リチウムイオン電池の製造で電極の塗布に必要な有機溶剤NMP(1-メチル-2-ピロリドン)を使用しないため、大量のエネルギーを要する塗布後の電極の乾燥工程を不要とし、コストメリットもある電池の製造が可能とされる。

■量産実証を開始

24Mテクノロジーズは、準固体リチウムイオン電池技術に関するライセンスを複数の製造パートナーに供与し、準固体リチウムイオン電池の市場浸透を図っている。

富士フイルムは2020年、24Mテクノロジーズに500万米ドルを出資。同社の技術と富士フイルムが培ってきた精密塗布技術や生産技術を組み合わせることで、準固体リチウムイオン電池の量産化に向けた生産基幹技術を確立した。同技術は、大面積・高エネルギー密度の準固体リチウムイオン電池の大量生産につながるという。

富士フイルムは今後、24Mテクノロジーズと協働して生産基幹技術の量産実証を開始するとともに、同技術を活用したビジネス展開を図り、準固体リチウムイオン電池の普及拡大を目指すとしている。

2022/9/16

 

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