日本製紙は6日、欧州で急速に市場が拡大する電気自動車(EV)用リチウムイオン電池(LiB)の負極材料の一つとして用いられるCMC(カルボキシメチルセルロース、同社商品名SUNROSE MAC)の供給体制を強化するため、ハンガリーに100%出資で製造・販売子会社を設立したと発表した。新工場の稼働は2024年12月を予定する。
■LiB用途の需要が増加
CMCは、天然セルロースを高純度に精製したパルプを原料として得られるアニオン系水溶性高分子で、環境に優しい素材。その優れた増粘性・吸収性・保水性から、食品・歯磨きペーストなどの日用品、製紙などの工業用途で以前から広範囲に使用され、近年ではLiB用途も大きく伸びている。
同社の開発品であるSUNROSE MACは、LiBの負極材料であるグラファイトの塗工液の高機能性添加剤として使用されている。均一な塗工膜の形成が可能になり、安全性に優れる点から、スマートフォン・PCなどの民生用、再生可能エネルギー蓄電用に加え、EV用途でも国内外のLiBメーカーから高く評価されているという。
■世界2拠点から供給へ
ハンガリーに建設する新工場では約5000万ユーロ(約71億円)の売上高と約60人の雇用創出を計画している。
今後はグローバルに展開するLiBメーカーと自動車メーカーに対し、日本の江津工場とハンガリーの2拠点から高性能なLiB用CMCを供給する体制を構築する。
2023/02/07