ドイツの自動車部品大手ZFが17日発表した2022年12月期通期決算は、売上高が前期比14%増の438億ユーロ(約6兆2000億円)だった。有機的成長率は9.3%で、この差は主に為替の影響によるものという。調整後EBIT(利払い前・税引き前利益)は6.7%増の20億3800万ユーロ(約2890億円)。税引き後の純利益は52%減の3億7600万ユーロ(約530億円)で2年連続の黒字となった。調整後のEBITマージンは5%から4.7%に低下した。


■包括的パフォーマンスプログラム開始

研究開発(R&D)への支出は9.7%増の34億ユーロ (約4810億円)と過去最高を記録。固定資産、工場、設備投資の額は18.8%増の19億ユーロ (約2690億円)だった。

23年1月1日に最高経営責任者(CEO)に就任したクライン氏は「プロセスを加速し、意思決定を簡素化し、コスト規律を維持するための包括的なパフォーマンスプログラムを開始した」と発表。効率性の向上により、高利回りで未来志向のテクノロジーに的を絞った投資を行うことが可能になるとした。

■アフターマーケットと電動ドライブ部門が成長

22年はとりわけ、アフターマーケットや電動ドライブ部門が伸長。アフターマーケット事業部門は、より多くのデジタルソリューションとサービスで顧客を獲得し、売上高は6%増の32億ユーロ(約4530億円)に上った。Eモビリティ分野では、乗用車と商用車向けの電動ドライブの受注残が現在、300億ユーロ(約4兆2510億円)を超えているという。

同社はカーシャシー・テクノロジーとアクティブセーフティー・システムの2つの部門を統合し、シャシー、ステアリング、ブレーキテクノロジーの新部門にすることを計画。新部門は車両の垂直、縦、横方向のダイナミクスを制御するために必要なすべてのハードウエアとソフトウエア、電子機器を提供し、売上高は140億ユーロ(約1兆9830億円)を超える見込みとしている。

■23年度の見通し

23年については、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)に続くウクライナ戦争により、19年以来縮小傾向にある車両生産台数が5年連続で伸び悩むと予想しているが、グループ売上高は緩やかに伸長し、450億ユーロ(約6兆3696億円)を超えると予測している。これにより、調整後のEBITマージンは4.7~5.2%に達する見込み。フリーキャッシュフローは10億~15億ユーロ(約1415億~2123億円)と予想している。

2023/03/17

 

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