スイスに本社を置く半導体大手STマイクロエレクトロニクスはこのほど、機能安全性が要求される車載アプリケーション向けに、業界初となる車載グレードのホットスワップ機能と理想ダイオード・コントローラーを集積したIC「STPM801」を発表した。

理想ダイオード・コントローラーは、外部MOSFET(金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ)を駆動し、逆入力保護と出力電圧維持のために従来使われてきたショットキー・ダイオードを置き換える。MOSFETの電圧降下が少ないため、通常動作中の電力損失をショットキー・ダイオードの順方向電圧よりも低く抑える。電源故障や停電、入力短絡などの障害時に逆電圧が発生した場合、MOSFETをオフにすることで、付随する逆方向の過渡電流を阻止できるという。

理想ダイオード・コントローラーは電源のOR-ingも提供し、メーン・バッテリーとバックアップ・バッテリーを切り替えることで、先進運転支援システム(ADAS)や自動運転などの安全重視の機器に中断なく電源を供給することが可能。

■「ASIL―D」に準拠

STPM801は保護機能と監視機能も備えており、自動車の機能安全規格「ISO26262」の最上位である「ASIL―D」までのシステム向けの機能安全性要件を満たすアプリケーションに最適。これらの機能はVFQFN―32パッケージ(5×5mm)に入っているため、基板面積の小型化と外付け部品の削減を実現する。

電源電圧4~65ボルトで動作し、暗電流が25マイクロアンペアと低く、自動車の電気的障害に耐え、車両電源オフ時のバッテリー消費量を最小限に抑える。STPM801は、ゾーン/ボディECU(電子制御ユニット)、ADAS ECU、高性能コンピューティングECU、インフォテインメントECU、冗長電源供給システム、デュアル・バッテリー・システムで使用されている。現在量産中で、単価は1000個購入時に約3米ドル。

2023/6/28

 

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