インドのエプシロン・カーボン(Epsilon Carbon)傘下で電池材料事業を手掛けるエプシロン・アドバンスト・マテリアルズ(EAM)は26日、6億5000万米ドルを投じ、米ノースカロライナ(NC)州ウィルミントン近郊で車載用電池の黒鉛(グラファイト)系負極材の新工場を建設すると発表した。米国の電気自動車(EV)産業におけるインド企業の最大かつ初の投資になるとしている。


■人造だけでなく天然黒鉛も生産

同社は今年6月に米国での新工場建設計画の概要を公表したが、立地については言及していなかった。概要公表時には人造黒鉛系負極材を製造するとしていたが、今回の発表では人造黒鉛だけなく、天然黒鉛系の負極材も製造するとしている。新工場の年産能力はフル稼働時に5万トンで、EV110万台分の電池の需要に相当するという。

■雇用創出は500人、26年中に操業開始

新工場の面積は150万平方フィート(約13万9400平方メートル)で、新規雇用創出は500人となる見込みだ。2024年中に起工し、2026年中に操業を開始。フル稼働に達するのは2031年になるとしている。

黒鉛を巡っては中国政府の商務部が今月20日に一部の製品について12月1日から輸出許可の取得を義務付けると発表したばかり。このことから、EAMの新工場に対する米国内の需要も高まるとみられる。

EAMはまた、米インフレ抑制法(IRA)によってEVのメーカーが1台当たり最大7500米ドルの税額控除を受けるためにはEVや電池が北米で最終的に組み立てられ、重要鉱物の40%以上について米国内か自由貿易協定(FTA)締結国で採取・加工されることなどが条件となっていることも新工場建設の決め手になったと説明している。

2023/10/27

 

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