パナソニックホールディングスは9日、リチウムイオン電池の製造を手掛ける傘下のパナソニックエナジー(本社:大阪府守口市)が豪州に本社を置くノボニックス(Novonix)から電気自動車(EV)用リチウムイオン電池の主要な負極材料である人造黒鉛を調達する長期契約を締結したと発表した。人造黒鉛は2025年から、ノボニックスの米テネシー州の工場からパナソニックエナジーの米国工場向けに供給される予定。4年間で1万トンの人造黒鉛を調達する。


リチウムイオン電池の負極材料としての黒鉛には天然黒鉛と人造黒鉛があり、人造黒鉛は充放電を繰り返しても電池の耐久性を高く維持する特性のために使用されている。

■生産サイクルを30日間から3日間に短縮

人造黒鉛は従来、アチソン炉と呼ばれる高温炉で1サイクル当たり約30日間もの長時間、約3000度の高温処理により生産されることから、エネルギーコストと二酸化炭素(CO2)排出量の多さが課題となっている。

ノボニックスが開発した連続黒鉛化炉技術は、1サイクル当たり約3日間という短期間での高効率生産を実現。従来のアチソン炉に比べ、生産時のCO2排出量を低減できることが想定される。同社が生産する人造黒鉛を活用することで、パナソニックエナジーはリチウムイオン電池の北米でのサプライチェーンの強化に加え、2030年度にカーボンフットプリントを21年度比で半減するという目標の達成に近づくことになる。

2024/2/13

 

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