独立行政法人の新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は7日、ロシアのモスクワ市交通管制センター(TsODD)と共同で交通渋滞解消のための高度交通信号システムの実証事業を実施することで合意し、基本協定書(MOU)を締結したと発表した。2016年度から約1年間、同市内の5カ所の交差点に、相互に連携する信号システムを設置し、交通渋滞解消効果の検証を実施する。また、同市以外の地域への展開を狙ったビジネスモデルについて検証を行う。


ロシアの首都モスクワ市は、欧州最大の都市として成長を続けているが、慢性的な市内の交通渋滞は深刻で、ロシアの経済活動を阻害する状況にまで陥っているという。このためモスクワ市は現在、大規模な信号システムの更新をはじめ、交通ソリューションの刷新を図ろうとしている。

NEDOは、モスクワ市が抱える交通渋滞解消のソリューションとして、TsODDと協力し、日本で交通渋滞解消実績のある自律分散信号システムを市内の渋滞発生道路に連続した交差点に設置し、交通渋滞を解消する高度交通信号システム(ARTEMIS)の実証を行う。

■京三製作所と野村総研に委託
具体的には、2016年から約1年間、京三製作所(本社:神奈川県横浜市)と野村総合研究所を委託先として、モスクワ市内の5カ所の連続する交差点にARTEMISを設置し、年間を通して交通渋滞解消の効果検証を実施する。

同システムは、信号制御機(コントローラー)間でリアルタイムに交通情報や信号機制御情報を交換して交差点に流入する交通量を予測し、「信号待ち時間が最小」になるように信号サイクルを制御する。

NEDOは、この実証事業の結果を基に、ロシアの他の地域への高度交通信号システムの展開を目指す。

2016/3/8

 

2週間無料お試し購読 購読を開始する